~事業の売買は会社のほうがやりやすい~
★会社は事業の価値をつけやすい
商売をつづけていると「自分たちの事業にはいったいどれくらいの価値があるのだろうか」と疑問を持ったことはありませんか。
例えば、事業の後継者がいない場合や違う事業を始めたいときなども事業の売却を検討する必要があります。
事業を売却するには、その事業の価値を客観的に判断することが必要です。
企業価値は単なる会計上の資産負債の金額、それに単年度の収支のみをモノサシにするのではありません。売上高や将来性、創立からの年数、地域でのシェア、企業名や商品のブランド価値などを総合的に見て判断します。これらを「営業権」とか「のれん」などといいます。
個人事業の場合、自分自身が商売そのものですから、事業主がいなくなればたいていは店じまいするしかありません。
しかし、会社なら、たとえ社長の卓越した技術や個性が評価されて事業を行ってきても、対外的には会社という法人格を前面にアピールしつつ運営しています。そのため、会社組織が社長の個人的な能力も包括して、集団としての価値をもつようになります。この集団としての価値を売買できるのが、会社の強みです。
★個人事業は権利関係の見直しが面倒
厳密にいえば、個人事業でも事業の売買は成立します。ただ、個人事業では不動産の所有が個人名義になっていたり、外部との契約も個人名で取り交わされているものです。そのため、これらを買い取るといっても、買い取った側は実質的に新しく事業を起こすのとほぼ同じ労力を要してしまいます。
また、個人事業の場合は事業とプライベートとが複雑にからみあっていますから、権利関係(売買時点の売掛金や借入れ、屋号、許認可など)の整理を行うときに手間がかかります。その点、会社ならこれらのことがじつにスムーズに行えます。
個人事業と同様に、会社の権利関係の見直しは必要になりますが、それらの取引は会社名を使って契約しているのでそれほど面倒なことはありません。そのため会社自体の売却、つまり発行している株式の譲渡によって、事業自体を容易に売買できるのです。