家族に給与支給した場合配偶者控除等はどうなるの
事業を始めた当初は従業員を雇用せずに家族がその事業を手伝う場合があるかもしれません。手伝ってくれた家族に給料を支給したい。その場合、会社を設立して給料を支給した場合と個人事業を開業してお給料を支給した場合、「配偶者控除」「配偶者特別控除」等はどのように違うのでしょうか。
毎年「年末調整」が行われていることは、会社勤めをされている方はご存じかと思います。この年末調整は、1年間の正しい所得税を計算する作業ですが、その計算項目の中で個人の扶養状況にあわせた「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」の控除がございます。この控除がそれぞれの場合で関係してきます。
1.会社を設立して社長になり、家族に事業を手伝ってもらい給料を支給した場合
(1)社長は会社から「役員報酬」を支給され、「役員報酬」は経費になります。
(2)家族に支給する給料も会社の経費になります。
(3)社長の側では、配偶者の収入が150万円以下の場合は「配偶者控除」150万円超201万円未満は「配偶者特別控除」を受けることができます。扶養親族の収入が103万円以下の場合「扶養控除」を受ける事ができます。但し、社長の所得金額によっても控除額が変動する控除項目がございます。
(4)配偶者側では、収入103万円以下は所得税が非課税ですが、103万円以上は所得税が課税されます。
2.個人事業を開業して、家族に事業を手伝ってもらい給料を支給した場合
(1)個人事業主側では、「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」を受ける事ができません。
(2)青色申告者の場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を速やかに税務署へ提出する事によって、ようやく家族への給料の支給を経費として認めてくれます。また、届出書に記載した金額を上回る額の給料を支払った場合はその分は必要経費になりません。
(3)白色申告者の場合、配偶者への支給は最大86万円・それ以外の専従者は1人50万円の経費しか認められません。
個人事業では家族に給料を支給するか、支給しないで個人事業主側で各控除を受けるかの二者択一になっています。その為、家族に給料を支給したい場合は、会社を設立して会社から支給する方法を一度考えてみた方が良いかもしれませんね。