役員報酬変更の際の注意点
初夏の暑さを感じる季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
5月末と言えば、3月決算の申告期限・法人税等の納期限となります。
決算が終わってほっと一息と思いきや、次の事業年度の開始に伴い、すぐに作業に取り掛からなければいけない場合があります。その一つが、役員報酬を変更する場合の手続きです。
1 役員報酬と法人税額の関係
役員報酬が経費の一つであることをご存じの方も多いのではないでしょうか。
しかし、経費であっても会社の利益から差し引くことができないもの(いわゆる損金不算入に当たる場合)がいくらかあり、役員報酬も不算入と判断される場合があります。法人税額は会社の所得に法人税率をかけて算出するものなので、損金不算入に該当するものが増え、利益が上がると、結果的に法人税額も上がることなります。
それでは、役員報酬が損金として認められる条件には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
2 損金算入できる具体的なケース
役員報酬の中で損金算入できるケースの代表的なものに「定期同額給与」というものがあります。
「定期同額給与」とは、「その支給時期が一月以下の一定期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」(法人税法34条1項1号)のことをいいます。平たく言えば、毎月同じ金額で支払われる役員報酬のことを指しています。
この定期同額給与を損金に算入しようと思うと、原則、事業年度開始日(期首)から3ヶ月以内に役員報酬の変更手続きを行わなければいけません(法人税法施行令 69条1項1号イ)。具体的には社内で株主総会を開き、議事録を作成する必要があります(なお、届出は特に必要ありません)。
そのため、3月決算の会社であれば、6月末までに手続きを踏まえる必要があり、スピード感が求められるのです。
3 終わりに
以上にあげた定期同額給与以外にも、事前確定届出給与のように届出によって損金算入できるものや、臨時改定事由などによって上記期間以外に変更した役員報酬が損金に算入できる場合もあります。
何にせよ、役員報酬の検討はお早めにして損はないかと思われます。