源泉所得税の納期の特例
早いもので今年も半分が終わろうとしています。
さて、毎年の事ですがこの時期にしなければならない手続きが3つあります。
そう、「社会保険の算定基礎届」「労働保険の年度更新」「源泉所得税の納期の特例」です。
「社会保険の算定基礎届」とは、9月以降1年間の社会保険料を決定するための書類で、4月~6月に支給した給料を年金事務所に届け出ます。
「労働保険の年度更新」とは、労働保険(=労災保険と雇用保険)の前年度分の保険料の清算と今年度分の保険料の概算払いをする事です。
いずれも重要な手続きで、今年度からは捺印の廃止や高年齢免除規定の廃止などの変更点がありますが今回は「源泉所得税の納期の特例」を取り上げます。
ご存知の事と思いますが、源泉所得税は徴収した日の翌月10日が納期限となっていますので、基本的に毎月金融機関に納めに行かなければいけません。しかし従業員が常時10人未満の会社に限っては「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、下のように納付を年2回にまとめることができます。
・1月~6月中に徴収した源泉所得税等・・・7/10まで
・7月~12月中に徴収した源泉所得税等・・・翌年1/20まで
この便利な納期の特例ですが、いくつか気をつけなければならない事がありますのでご案内します。
①まとめられる源泉所得税は限定されている。
納期の特例の対象は給料・賞与・退職金・税理士等への報酬によるものに限られます。
つまりそれ以外の支払いから徴収した源泉所得税は納期の特例が適用されないので原則通り徴収した日の翌月10日が納期限となります。
具体的には原稿料や講演料、外交員報酬、演奏料、作曲料などです。これらは納付書の様式そのものが違いますので税務署で発行してもらわないといけません。(なお発行は無料です。)
②従業員が常時10人未満に限られる。
会社が拡大し雇用する従業人が増えていくといずれこの規定は使えなくなります。
ただし例えば平常時は従業員が9人で、繁忙期にごく短期のアルバイトを2人雇ったから一時的に従業員が11人になったような場合だと「常時」10人未満に含まれます。
③申請書を提出した月には効果がない。
この納期の特例は申請書を提出した月の翌月から有効になります。
例えば2/20に申請書を提出した場合は、2月中に徴収した源泉所得税等は原則通り翌月10日(3/10)までに納税しなければいけません。その後の3月~6月分の納付期限が7/10になります。
いかがでしたか?単純ですが意外と見落としがちですので心の片隅にでも留めて頂けたらと思います。なおこの納期の特例ですが、「災害による申告、納付等の期限延長申請」が認められます。新型コロナウイルスの影響で期限内に納付できない場合はそういう手段もありますのでご無理をなさらないようにしてください。